医学部生の自習室

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医学部の勉強の中で感じたことや、面白い知識などを共有していきます!!ほかにも医学部生の実態や、あとは本当に関係ないことも書いていこうと思います笑すこしでも皆さんのためになったら嬉しいです:)

6/3  「心臓を捧げよ!!!!」を発生学的に深堀りしてみる

 

こんにちは!!

 

 

いつも読んでいただき、ありがとうございます!!

 

 

 

突然ですがみなさん、

心臓を捧げてますか?

 

ちょっと意味わかんないよ、置いてかないでという人

 

心臓を捧げるとは、あの有名な漫画であり、アニメ化も映画化もされている

進撃の巨人で出てくる有名な言葉です

 

意味としては、死ぬ覚悟で戦う決意を表したものになります

そして、何よりもそのポーズが印象的すぎますよね

 

いまからレクチャーするので、ぜひやってみてください

 

まず足を肩幅に開いて、背筋を伸ばして起立します

 

腕は腰の後ろに持っていき、こぶしは固く握っておきます

 

そしてそこから、右手を自分の心臓に重ねるようにします

 

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さあ、完成です

これでみなさんも立派な調査兵団の仲間入りです

 

 

と、まあ進撃の巨人の話はこの辺にしておいて

 

ここからは医学の知識を交えて、この「心臓を捧げよ」を深堀してみます

 

 

私先ほどみなさんに、

「心臓捧げてますか?」というなんともおかしな質問をしたと思います

 

 

それで、皆さんの答えってどんなのでしたか??

 

 

捧げてる?捧げてない??

 

 

なるほど、結局よく分からないって人が多そうですね

 

 

しかしみなさん、朗報です

悩む必要なんてこれっぽっちもなかったんですよ

 

 

だってみなさんすでに一度は心臓を捧げているんですから

 

さて、なんのことやらさっぱりという感じでしょう

 

でも皆さんは生まれる前に、お母さんのおなかの中で心臓を捧げながら育っていってるんです

 

とはいってもですよ、別に

 

おなかの中で、「よし、私は今から死ぬ気で戦おう」

とか決意してるとかではないです😓

 

そんなん全然医学的じゃありません

(私自身はそういうの想像するの好きなタイプですが…😅)

 

 

では、どういうことなのかというと

実際に捧げているんです、物理的に

 

なんなら捧げすぎて頭の上まで持ち上げてます

 

心臓を捧げよの最上級的なことをやってるんです

 

 

 

それではここからは真面目に解説していきましょう!

 

今日話す内容は、発生学の話になります

 

まず結論から入ると、

私たちの心臓は、発生初期には頭の上でその原型が作られた後

発生していく過程で徐々に今のわれわれの位置、つまり胸のあたりにやってくるんです

 

 

ではここからは、心臓の発生を時間経過とともに追っていきましょう

 

 

心臓の発生の始まりは、

胎生3週のあたりからすでに始まっていきます

 

胎生3周といえば、ちょうど二層性胚盤から三層性胚盤へと変わっていく段階

原腸形成という現象が起こっていきます

 

原腸形成とは、私たちの体の中で起こる初めての複雑な運動で

胚盤葉上層の細胞が移動していくことで、外胚葉・中胚葉・内胚葉を形成していく段階のことを指します

 

またこの過程において、将来さまざまな器官へと分化していく細胞群がそれぞれの位置に配置されていきます

 

 

そして、この過程において心臓を形成する細胞群は脊索前板よりも上方へと誘導されていくのです

 

では、どうして心臓はまず頭部より上で形成されていくのでしょうか?

 

答えは、そのあとの頭部の発生の過程と関係してきます

 

私たちの頭の発生は、

簡単に言うと、風船が膨らんでいくイメージです

 

だんだんと空気が入って膨らんでいくように、

内側の空洞が大きくなっていくことで、私たちの脳は作られていきます

 

お母さんのおなかの中で脳を大きくしていくためには、ただ膨らませるだけではうまくはいきません

 

より効率よく膨らんでいくためには、膨らむにつれて前に張り出していく

分かりやすいイメージだと、フック状になっていくことが必要となります

 

 

この過程で、もともと上部に位置していた部分が徐々に下へ下へと降りてきます

 

これによって心臓は胸の高さに誘導されていくんです

 

 

じゃあ、ここでさらに気になることは

なんで心臓だけが頭より上か、ということだと思います

 

これは私の考えになるんですが、

血管の発生が影響しているためだと考えています

 

心臓に近い血管、大動脈弓や胸部大動脈、鎖骨下動脈、肺動脈などは鰓弓に由来しています

 

そのため、鰓弓に近い位置、つまり顔のあたりに置く必要があるのではないか

そう思っています

 

 

 

いかがでしょうか、

 

まさか心臓がもともとは頭の位置にあって、

それが胸の位置まで下りてきていたなんて誰も想像してませんでしたよね

 

発生学をやっていくと、こういう面白い発見があるので結構すきなんですよね😁

 

 

あ、心臓の発生に関してもう一つみなさんに面白い話があります

 

 

私たちの心臓っていつから動き出してると思いますか??

 

だいたい妊娠5週目くらいです

なのでこのあたりになるとエコーで診ることができ始めます

 

 

 

ということで今日は、「心臓を捧げろ!」を発生学的に深掘りしていきまいた

 

私たちは生まれたころから調査兵団に加入してたみたいですね

 

 

 

 

 発生学に関して、こちらもぜひ読んでみてください!

 

自分を理解してくれてる人がみつかるかもしれませんよ