薬理学 自律神経系に作用する薬 / 生理学 自律神経の構造
自律神経系に作用する薬の説明に入る前に
まずは自律神経系の大まかな説明を生理学の観点からしていきます
薬の作用を理解するうえで、大事な概念となってくるので
どうか飛ばさずに、読み進めていってください
1.自律神経の解剖学的な 構造
自律神経系というのは、末梢神経系の遠心性ニューロンの一つであり
そこからさらに大きく3つに分類することができます
交感神経系、副交感神経系、そして腸神経系の3つです
ここで多くの人は、2つではないのかと不思議に思った人もいるでしょう
これを説明するためには、まず交感神経と副交感神経とは何かを理解する必要があるので簡単に説明していきます
交感神経と副交感神経の違いは、
1.どこから神経が出てきているのか
2.どのように支配しているのか
3.神経節はどこにあるのか
4.神経伝達物質は何なのか
この4つです
1つずつ説明していきましょう
まず、
1.どこから神経が出てきているのかですが、
交感神経は、胸髄と腰髄から神経線維が伸びてきます
その一方で、副交感神経は脳幹部と仙髄に由来しています
頚髄からは出てないことは、気を付けてくださいね!
次に、
2.どのようにしはいしているか、というのは
脊髄から伸びてきた神経線維が、交感神経の場合は一つの神経で多数の臓器を支配しているのに対し、
副交感神経の場合は、おおむね一つの神経は一つの臓器を支配しています
これはそれぞれの働きに対して大きく影響しているので、けっこう大事なことです
3.神経節の場所に関してですが、交感神経は交感神経幹という場所にあり、これは脊髄の近縁に存在しています
副交感神経の場合は、標的の臓器の近くまで伸ばしそこで神経を乗り換えていきます
これは標的となる臓器のみに影響を与えるためでしょう
そして
4.伝達物質は何なのか、ですが
神経節でのやり取りには両方とも、アセチルコリン(Ach)を用いています
副交感神経は、標的となる臓器とのやり取りにもAchを用いているのに対して、
交感神経は、ノルアドレナリン(Nad)を使って神経伝達を行っていきます
さて、ここまでで交感神経と副交感神経の大きな違いというのはつかめてきたと思います
これは、この後に説明していく末梢神経作用薬の説明においてもかなり重要になるので
しっかり覚えておいてください
ここからは、3つ目の自律神経に数えられる、腸神経系ですが
腸神経系自体で独立して働くことが可能なんです!
組織学的な目線で言えば、
アウエルバッハ神経叢とマイスネル神経叢という部分になります
もう少し踏み込んでしまうと、
アウエルバッハ神経叢は別名を筋間神経叢、
マイスネル神経叢は粘膜下神経叢
ということも覚えてしまいましょう
そして
その働きから、「第二の脳」と呼ばれています
以上で、自律神経の大まかな構造については終わりとなります
次は、自律神経の役割について説明していきます!