薬理学 自律神経に作用する薬 / 受容体の分類
今回は末梢神経に作用する薬物の作用を考える基盤となる受容体について説明していきます
末梢神経には主に2種類の受容体が存在しています
2)アドレナリン(NE)受容体
そしてさらにこれらの受容体は、作用する物質への親和性の違いによってより細かく分類されており、それをサブタイプと呼びます
そして、受容体とその作用を考えていく上で一番大事なポイントは
結合しているGタンパク質はなんなのか、ということです
ここまでをまとめると、
受容体を考える上で注目すべき点は大きく2つです
ⅰ)親和性(サブタイプ)
ⅱ)Gタンパク質
この2点を意識して分類していくことで、受容体の作用がよりわかりやすくなると思います
まずは、受容体の分類について説明していきます
1)アセチルコリン受容体
アセチルコリン受容体は、アセチルコリン(Ach)をリガンドとする受容体です
[分布]
アセチルコリン受容体は、交感神経と副交感神経の両方の神経節、副腎髄質、そして神経筋接合部に存在しており、
ここで、自律神経の構造の時に話した実験について思い出していただきたいと思います
まだ読んでいないという方はこちらから確認いただけます👇
簡単にどのような実験だったのかを説明すると、自律神経を両方とも遮断することで、各臓器における自律神経の支配を明らかにするというものです
この、自律神経を両方とも遮断する、ということをどのように行なっているのかという説明が、受容体ということになります
つまり、自律神経は両方とも神経節ではアセチルコリン受容体、
特に後で説明するニコチン受容体を使って神経伝達を行なっています
なので、このニコチン受容体を遮断する薬物を用いることで自律神経を両方とも遮断することが可能だ、ということです
ちなみに、このような作用をする薬物、すなわちニコチン受容体の拮抗薬のことを特に神経節遮断薬と呼び、
ヘキサメトニウムなどがあります
[サブタイプ]
アセチルコリン受容体には、
ニコチンに強い親和性を示すニコチン受容体と
この2つのサブタイプが存在しています
ムスカリン受容体は、副交感神経の各臓器との神経伝達の場所にあり、
それ以外のアセチルコリン受容体はすべてニコチン受容体となります
ここで勘違いをしてほしくないことがあります
ニコチン受容体はニコチンのみに反応してムスカリンとは反応しない
または、その逆もですが
そういうわけではないということです
あくまで親和性の強さの話をしているだけで、全く反応しないというわけではないのでご注意ください
更にここからそれぞれの受容体はさらに細かい、サブクラスというものへと分類がされていきます
ニコチン受容体は、神経筋接合部に存在するNm
とそれ以外のNnに
ムスカリン受容体は、M1,M2,M3,M4,M5へと分けられます
ここで、生体反応として重要となるのはM1,M2,M3だけなので、
この3つだけ覚えておくだけで大丈夫になります
アドレナリン受容体は、エピネフリン(Ep)もしくはノルエピネフリン(NE)をリガンドとする受容体です
[分布]
アドレナリン受容体は、交感神経の節後神経線維が各臓器と連絡するところに存在しています
この場所では、神経伝達分泌としてNEを用いています
[サブタイプ]
アドレナリン受容体は、イソプロテレノールとの親和性によって大きく二つに分けられ、
親和性が弱い受容体のサブタイプをα受容体
親和性が高い受容体のことをβ受容体といいます
さらにアドレナリン受容体も、さらなるサブクラスへと分類され
α受容体はα1とα2の二つに、βはβ1、β2、β3の3つにそれぞれ分けられます
これはまたそれぞれの受容体へと作用する薬物についてまとめていくときにも詳しく話しますが
このサブクラスからもさらに細かく分類できるものもあり、
例えば、α1は1A,1B,1Dに、α2もA,B,Cと分類することができます
これは、それぞれの薬の副作用や、適応疾患を理解するときにとても役立つので
この際になんとなくでも知っておくことをお勧めします
また、アドレナリン受容体のサブタイプにはもう一つ特殊な受容体が存在しており、
この受容体は、腸間膜の末梢部と腎臓に偏在しており
血管を拡張する作用をもちます
ドーパミン受容体にもD1とD2の二つのサブクラスが存在します
これで自律神経に分布している受容体の分類は以上となります
次はGタンパクについてまとめていきます